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今回訪問した珈琲工房はオーナーの大石誠さんが24才の時、念願叶って開店した自家焙煎コーヒー専門店である。開店した1995年といえば、スターバックスコーヒーの日本進出の前年で、喫茶業界は絶不調の真っ直中で呻吟していた時代である。中学生の頃から喫茶店の経営を夢見ていたという大石氏だが、その夢を踏み出した開業時代は想像以上に厳しい船出だった。振り返れば、経済成長と共に来る喫茶店の全盛期があり、食事メニューの導入による食堂化にひた走った混迷期があり、コーヒーへの拘りを失った結果の低迷が続く時代の船出だったのである。自家焙煎の挽売スタイルを目指すも、当時の茂原は前人未踏の地。自らレギュラーコーヒーの市場を創り出すことから始めなければならない。そのためにはコーヒー専門店としてお客様を迎え、自家焙煎コーヒーに親しんでもらう場所として珈琲工房大石は開店している。実際にコーヒー豆が一粒も売れない日でも、喫茶のお客様が数人はお見えになる。数人が数十人になり、顔なじみのお客様が増え始めると、徐々にコーヒー豆の販売も伸び始めている。その過程でいろいろな事件に遭遇するのだが、「挽いて持ち帰ったコーヒーが粉っぽくて飲めない」というものまで登場する。インスタントコーヒーと同じようにカップに粉を入れ、お湯を注いでかき回しても、いつまでも溶けないので飲めないというのだ。これはパイオニアとされる方々に共通の経験である。 |